温度風とは、地衡風の鉛直方向の風向・風速の違いのことです。温度風は、実際に吹いている風ではなく、2地点の風ベクトルの差のことをいいます。
また、この温度風のことを、鉛直シア、ともいいます。
温かい空気は、膨張し上空の方に行きますよね。冷たい空気は、圧縮して下の方に行きますよね。電車では、エアコンは上につけますし、暖房は下にありますよね。
これを、地球で考えてみましょう。
北極は冷たい、赤道は暑いことから、北極の気体は圧縮されますし、赤道の気体は膨張することになりますね。
ということは、北極は、下の方に気体がたまり、赤道は、上空まで気体が存在することになります。
つまり、赤道の方が、北極より、空気の層が上空まであり、したがって、単位面積当たりの圧力(気圧)としては、上空まで、空気があるので圧力が高い状態にあるということになります。
赤道付近は、高度が高いところでも、圧力がある+空気がある、北極付近は、高度が買いところでは、圧力が低い+空気が少ない、となります。
したがって、赤道から北極に向かって、等圧面、つまり、圧力が同じところは、高度が高いところから低いところへと傾きを持つことになります。重力もありますので、特に、上空ほどこの傾きが大きくなります。これを、気圧傾度力といいます。
この気圧傾度力があると、地衡風が吹きます。地衡風とは、実際の風ですね。地衡風は、まずは、この気圧傾度に従い、赤道から北極に吹くとします。しかし、北半球では、コリオリの力が働き、だんだん右に曲がっていきます。そして最終的には、赤道から北極への向きだったはずなのに、平行な風(西風)となってしまいます。ちなみに、平行(西風)になった時のコリオリの力は、赤道方向になります。
このことを、高度の話と絡めますと、高度が高い方が、気圧傾度力が大きいので、大きい地衡風が吹くと同時にコリオリの力も強く働き、早く平行(西風)になります。高度の低い方は、気圧傾度力が小さいので、小さい地衡風が吹くため、同時に起こるコリオリの力は弱く働き、平行(西風)になるのが遅れます。
この時の地衡風のベクトル差(速い上空の西風ー遅い上空の西風)を、温度風と呼びます。といっても、この温度風は、実際に吹いている風のことではありません。高度の方向、つまり、鉛直方向で、高度が高いところと低いところに地衡風が吹いているものを比較することを鉛直シアと呼びますが、このベクトルの差を書いた矢印の向きと長さを温度風と呼んでいます。ちなみに、水平シアは、水平方向の2点間の風を比較することを言います。
ちなみに、高度の異なる風の成分をベクトルで表現して、地上に投影した図を、ホドグラフと言います。
鉛直シアをホドグラフ(でなくてもいいですが)を通して考えてみると、温度風のベクトルは、高度の低い、平行(西風)になっていないところから、高度の高い、平行(西風)が強いところへと向かう矢印になります。もともと、温度風は、西風なので、温度風の右側は赤道側で暖かい空気、左側は北極側で冷たい空気となります。したがって、暖かい空気が入り込む形になります。風としては、時計回りとなりますね。
ちなみに、暖気移流とは、暖気団側から寒気団側へ向かって風が吹き、暖気が寒気に流入することを言います。
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