上昇した空気は、いつしか雲になる。
雲は、水蒸気を含む空気が上昇し、上空で冷やされるためできる。空気が上昇する理論は、前回、記した。
ここで、空気が上昇する条件を考える。
1) 太陽の熱で空気が暖められ、上昇時に周りの空気より軽くなるため、更に上昇する。
2) 冷たい空気と暖かい空気がぶつかるとき*、冷たい空気が潜り込み、暖かい空気は冷たい空気の上に乗っかる。→ 上昇する。
3) 低気圧に向かって周りの空気が流れ込み、低気圧の中心では上昇気流が生じる。
4) 風による空気が山に衝突し、その後、斜面を昇る。
5) 上空に寒気が入ることで、地表との間に寒暖差が生じる。いわゆる大気の状態が不安定となり、暖かい空気が上空に向かって上昇する、「上昇気流」が発生する。
上昇した空気(水蒸気を含んだ空気)は、上空に行くほど温度が低下する。温度が低下すると、「過飽和」の状態になる。
まず、飽和について述べる。ある一定量の空気中に存在できる水蒸気の量には限界がある。この時の最大水蒸気量を飽和水蒸気量という。そして、飽和水蒸気量が最大の状態を、飽和という。ちなみに、飽和水蒸気量は、温度が低いと少なくなる。
話を戻すと、水蒸気を含んだ空気が上空に行くほど温度が低下するわけだから、上空に行くほど、飽和しやすくなる。ちょうど空気の水蒸気量と飽和水蒸気量が等しくなった時、最大になったとき、限界の時を超えると、飽和を超えることになる。この状態を、過飽和という。
過飽和になったときに、雲の核があると、水蒸気が付着していき、やがて大きくなり水の粒の集合体である雲となる。
ところで、雲の核は、浮遊粒子状物質(例えば、空気中にある塩粒、火山の噴煙、工場からの煤煙)などである。
ちなみに、環状八号線には、天気の良い午後に、環八雲が発生する。自動車の排気ガスによる浮遊粒子状物質も雲の核の1つと考えられている。
* 「前線」 ・・・ 暖かい空気、冷たい空気のかたまりが衝突しているところ。境目のところ。
温暖前線 ・・・ 暖かい空気が冷たい空気に乗り上げた状態。小雨が降り続き、後に気温が上昇。
寒冷前線 ・・・ 冷たい空気が暖かい空気の下にもぐりこんだ状態。短時間の激しい雨の後、気温低下。
停滞前線 ・・・ 暖かい空気と冷たい空気が衝突した状態。何日にもわたり雨が降る。
閉塞前線 ・・・ 温暖前線と寒冷前線が重なった状態。強風で激しい雨が降り、その後、弱まる。
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