グッド・アンサー

1.高校時代 (21) 秋晴れ

9月はあっという間に終わり、10月になった。暑さも峠を超え、涼しくなってきて、秋晴れの日も増えてきた。

最近、カフェに行っても、さやかの姿はなく、学校のクラスもさやかは進学コースになってしまったので、会うことすらできなくなっていた。

僕は、町の伝説について、図書館で調べたり、マスターに聞いたりしていた。さやかが言っていた雷神社の伝説は、1000年以上前からの言い伝えのようで、特に昔から住んでいる家では、語り継がれているということだった。

ふと、僕が今、その役回りとすると、100年前は誰だったんだろう、そんなことが頭をよぎった。マスターに聞いてみたけど、わからないということだった。もし知りたければ、町の長老に聞くといいよ、と教えてもらい、町の長老のご自宅にお邪魔することにした。

「長老、本日は、お忙しところありがとうございます。」

「哲也君といったかな。遠慮はしなくていいよ、お入り。」

長老は、中へ通してくれた。

「話は聞いておる。雷神社の伝説を知りたいんじゃろ。」

「はい。どんなことでもいいんです。何かご存知のことはありませんか」

「そうじゃの。あの神社は、雷を祀っておる。この町は、雷が多くてのう。暖流と寒流が交わり、山も急にせり出すところがあるから、暖気と寒気がぶつかりやすい地形になっておる。風の流れには、特に注意しなければいかん。」

「そうなんですね」

「よく雷が落ちる土地なんじゃよ。五年前かな、神社の境内のけやきの木が真っ二つに裂けたことがあったのう。」

「ところで、哲也君、プラズマって知っとるかい。ものすごいエネルギーの塊じゃ。雷も地球と太陽との間のエネルギーのやり取りのひとつなんじゃ。太陽があって、わたしたちは、恵みを受けている。日差しがあり、雲ができ、雨が振り、紫外線が注ぎ、二酸化炭素を吸い木が育ち、酸素ができ。。。本当は、もっと自然界は複雑じゃ。エコシステムは、そう簡単に説明できるものではない。いずれにせよ、その源は、太陽、そして、プラズマじゃ。」

「なんか複雑ですが、なんとなくわかってきました」

僕は、そう答えるのが精一杯だった。

「その太陽のエネルギーを、100年に一度、受け取り操れる人、太陽の子と呼んでいるが、その太陽の子が現れると、この町では信じられておる。」

「そのことで、お聞きしたいのですが、100年に一度ということは、100年前は、誰が太陽の子なんですか。」

「それは誰もわからん。使い方やコントロールの仕方がわからないと使いこなせないし、悪いことに使うと、その力が失われ、太陽の子ではなくなってしまうという、言い伝えがある。」

長老は、お茶をすすりながら、続けた。

「要するに、太陽の子という自覚がなく、一生を終えた子もいたじゃろうなぁ」

長老は、遠くを見つめながら、そう言った。

僕は、なんとなく、言い伝えがわかってきた気がしてきた。

確かに、人間が行きていくためには、太陽の力が必要だし、気候も人間生活も食料も水も、すべて、太陽の動きがかんけいしているよな、と再認識した。

ところで、プラズマってなんだろう?後で調べてみるか、と思いながら、長老に礼を言って、外に出た。

僕は、あの雷の時、エネルギーを受け、太陽の子になったのだろうか。もしかしたら、自分でエネルギー?プラズマ?を操ることができれば、何かできるのかもしれない、そんな事を考えながら、自宅への道を歩いていった。

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