グッド・アンサー

1 高校時代 (6) カフェ

変な高校に入っちゃったな。さやかが、不良グループのリーダーなんて、超やばいじゃん。

僕は、正直、引っ越し、転校を後悔した。リセットしたはずの新しい高校生活も、すべて台無しだと思った。

時間は、15時をまわったところで、帰宅するのは、まだ早すぎるし、といって、周辺にモールとか遊び場があるわけでもない。仕方なく、家に向かって国道沿いを歩いていると、例の「海の家」があった。もちろん、今は営業はしていないが、その横に、小さなカフェがあるのを見過ごしていた。海の家とカフェ繋がっていて、どうやら、同じ経営者のようだった。

コーヒーは苦く飲むのが辛かったが、僕の性格上、大人のふりというか背伸びしたい気持ちでいっぱいなので、コーヒーは、良く飲んでいた。

そんなこんなで、どうせ暇だし、少し大人になった気分にも浸りたくて、カフェに入ることにした。

カフェに入ると、マスターが一人、皿を拭いていた。

「いらっしゃい。ホットコーヒーでいいかい」

気さくなマスターがそう言ってくれ、ホットコーヒーを出してくれた。

「見かけない顔だね。海浜高校の子かい?」

「はい。今日転校してきたばかりなんです。」

「そうかい。ようこそ海浜町へ。」

そんな会話をしながら、コーヒーをいただいていた。

「カランコロン」

扉が開いた。

「ごめんなさい、マスター。遅れちゃった。」

また、聞き覚えのある声だった。僕は、入口の方を振り返り、またびっくりした。

その声の主は、さやかだったからだった。

「今、準備しますね。あ、今日は、めずらしく、お客さんいるんですね。」

そう微笑みながら、制服の上にエプロンを身に着けカウンターに入ってきた。

そして、彼女は、僕をみて、

「あ、哲也君じゃない。いらっしゃい。」

と話しかけてきた。僕は、もう、なにがなんだかわらなず、声も出ない状態だった。

すかさず、マスターが、

「なんだ、知り合いかい?」

「そうなんですよ、マスター、今日から高校に転校してきた、哲也君なのよねー。2年B組のクラスメート!」

僕は、挨拶をしなければならないと思い、

「山辺村から引っ越してきました、哲也です。よろしくお願いします。」

と伝えた。マスターが、

「そんなあらたまらなくていいよ、お客さんなんだから」

といって、3人で笑った。

しかし、さやかの変わりように、僕の頭は追いついていけず、これからこの町での僕の生活は、一体どうなってしまうのだろう、と不安になった。

「さやかさんは、アルバイトをしているんですか。」

僕は、たずねた。

「マスターがどうしても手伝ってっていうからねー。あ、高校には内緒だよ。アルバイトは禁止されているからね。」

「そっか、アルバイト禁止なんだ。知らなかった。厳しい高校なんだね。」

「ルールはね。でも、みんな隠れてやっているけどね」

3人で、また笑った。

そんな時、また、「カランコロン」と扉が開く音がした。

「おじゃましまーす」

という元気のよい女の子の声がした。

「いらっしゃい」

どうやら、常連のお客さんのようだ。よく見ると、高校の制服がさやかと一緒、ということは、同じ高校のようだ。

「あれ、見たことがない人、それも海浜高校の生徒ですね。はじめまして、高校1年の美紀です。」

「あ、どうも、2年の哲也です」

「あれあれ、どうしたの、哲也君、顔が真っ赤だよ」

「もう、マスター、人が悪いなー」

僕は、そんな返しをしながら、美紀をみた。ショートカットで、元気いっぱいな感じ。

美紀は、さやかと、今日の出来事を、きゃっきゃと話して笑い合っている。

すごく、のどかで、楽しい、いい場所だなぁ、と思った。

家に帰った僕は、今日の目まぐるしい一日を振り返った。

しかし、さやかには、びっくりしたな。不良のリーダーなのに、あんなに愛らしいところがあって、よくわからない娘だなぁ、そんなことを考えながら、眠りについた。

© 如花 康秀 2023-

1 高校時代編
(1) 出会い
(2) 引っ越し
(3) 再会
(4) 初登校
(5) 不良のリーダー
(6) カフェ
(7) 実力試験
(8) ゴールデンウイーク

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